ENA Solo Exhibition「f_a_c_e」

　新進の現代アーティスト・ENAの個展「f_a_c_e」がANB Tokyoで開催。本展では、私たちの「見る／見られる」の関係を改めて考えることを促す、絵画シリーズを発表する。

　 ENAは、美術専攻で高校を卒業後、油彩画、アクリル画、コラージュ、立体造形、写真、映像、音響、インスタレーションなどを制作。固定概念や枠にとらわれず、社会や文化にフォーカスし様々な手法で自身のアイデンティティを表現する。また色彩論ではなく、独自の構想やとらえ方で「色」にアプローチし、作詞家や作曲家のように、色彩での表現行う「作色家」として作品づくりを行っている。

　過去に舞台などで活動した経験から、人格（ペルソナ）に関心を持つENAは今回、SNSの時代における人格形成をテーマに作品を制作。肖像画をマーブリングで覆うことで、「影響力が高い記号」である顔を、絵画の流動かつ複雑な事象に置き換える。それは、SNSにおける匿名の存在性のポートレイトであると同時に、この時代に他者の存在がいかに私たちの人格形成に影響しているか、あるいは決定権を持ってしまっているかということを表現している。

　また舞台上やその外においても、他者による「人格への介入」に晒される俳優たちの顔をマーブリングすることは、俳優の変身を表現していると同時に、観客や鑑賞者という見る側の欲望や視点を、視覚化する試みでもある。