福本潮子 藍の青 2021

　福本潮子の6年ぶりとなる新作個展「藍の青 2021」がARTCOURT Galleryで開催。本展は「古布の魅力の次世代への伝承」をテーマに、作家が意欲的に取り組む古布のシリーズの新たな展開を見せる。

　福本は現代藍染の世界の第一人者として、実績を重ね、揺るぎない評価を確立してきた。そして40年におよぶ染色作品制作の過程で、作家は私たちの文化がこれまでに伝承し、つくり続けてきた非常に上質な布と出会った。それらはかつて農漁村の仕事着として使われ、あるいは江戸期の武家の衣装として使われた布であり、それぞれの役目を持って使用された貴重・希少な「古布」を作品素材とする制作を、福本は20年以上継続している。

　本展の作品に使用される古布は、苧麻、大麻、亜麻、対馬麻、越後上布、藤布、科布、オクソザックリなど。福本が作品に用いる古布を、当時と同じクオリティでつくるには、材料調達の困難さに加え、高度な技術、忍耐強い長時間労働が入用であることが多く、その生産のほとんどが現代では途絶えてしまったため、それらは古布としてのみ入手可能なものとなっている。

　作品の制作・発表を通じて古布を現代に活きるかたちに発展させる、福本の情熱にふれてほしい。