EXHIBITIONS

村上三郎展

2017.10.14 - 12.09

村上三郎 入口 1955 / 86  「具体ー行為と絵画」 兵庫県立近代美術館(1986年8月30日) 撮影=夏谷英雄 提供=アートコートギャラリー

村上三郎 入口 1955 / 86  「具体ー行為と絵画」 兵庫県立近代美術館(1986年8月30日) 撮影=夏谷英雄 提供=アートコートギャラリー

村上三郎 作品 1957 提供=アートコートギャラリー

村上三郎 作品〈空気〉 1956 (再制作:1994) 提供=アートコートギャラリー

 1950~60年代に「具体美術協会」の一員として活動し、「紙破り」を通じて時間と空間、必然と偶然、自己と他者といったテーマを身をもって検証しようとした村上三郎。

 村上の代名詞ともいえる「紙破り」は、しばしばパフォーマンスの先駆として、また画面の破壊によって絵画における既存の枠組みを解体し、その本質と新たな可能性を追求した試みとして位置づけられている。

 しかし作家自身にとっては、物質と自らの身体・精神の衝突において生み出されるものを掴み取りたいという好奇心から出発し、木枠と紙の内部に閉じ込めた時空間を一挙に解放することで、自己の存在をも自由に解き放ち、「今、此処」そして「生」の実感に向き合おうとする極めて私的かつ根源的な欲求に基づく表現行為でもあった。

 本展では、国内に唯一現存する「紙破り」の痕跡である《入口》や80~90年代に行われたパフォーマンスの映像、56年の第2回具体美術展で写真家の大辻清司によって捉えられた《通過》の連続写真を展示。50~60年代の絵画作品とともに通観することで、村上が実践した身体的行為と描くこと、そしてコンセプチュアルな表現の関係性について改めて考察する。