EXHIBITIONS

映えるNIPPON

江戸~昭和 名所を描く

2021.06.15 - 07.11

吉田初三郎 神奈川県鳥瞰図 1932(昭和7) 神奈川県立歴史博物館蔵

小林清親 駿河町雪 1880(明治13) 府中市美術館蔵

川瀬巴水 東海道風景選集 日本橋(夜明) 1940(昭和15) 大田区立郷土博物館蔵

中澤弘光 上高地大正池 1932(昭和7) 小杉放菴記念日光美術館蔵

和田英作 三保富士 1953(昭和28) 小杉放菴記念日光美術館蔵

 雪をいただく富士、月明かりに照らされる寺社仏閣、桜の枝の向こうに望む隅田川。本展「映えるNIPPON 江戸~昭和 名所を描く」では、誰もが親しみ、懐かしく感じられる景観がどのように描かれ、広まっていったのかを探る。展示作品は、日本各地の「名所風景」をとらえた幕末から昭和にかけての絵画作品をはじめ、写真や版画、ポスターなど。

 見どころのひとつとなる吉田初三郎の《神奈川県鳥瞰図》は、昭和初期に制作された大型の肉筆作品。写生を重ね、何百枚ものスケッチを統合することで描き出される初三郎式鳥瞰図は、富士山と同じくらい高くそびえる大山、遠く下関まで描き込まれる独特のデフォルメが特徴となっている。

 また本展は4人の広重として、《名所江戸百景》などで知られる浮世絵風景版画の大絵師・初代歌川広重、明治期変わりゆく東京の姿を、夜景などのなかに描き出した「明治の広重」小林清親、全国を旅して美しい日本の姿を抒情豊かに描き出した「昭和の広重」川瀬巴水、美しく映える名所と交通の様子を描き出した「大正の広重」初三郎の作品を展示。それぞれに個性的な絵師の共演を見ることができるほか、国立公園を描いた洋画や、日本の画家たちに描き継がれてきた富士が登場する作品の数々を紹介する。

 時代の変化のなかで新たに登場した景物、時を超えて受け継がれた表現、だれもが心に浮かべる日本の景色。映える「日本」を巡る旅を堪能してほしい。