カネコタカナオ 展「Disperse」

　現代アーティスト・カネコタカナオの個展「Disperse」がtagboatで開催されている。会期は5月6日まで。

　カネコは1977年埼玉県生まれ。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒業。身の回りにあるものとモンスターを組み合わせ、ストリートアートとアニメを融合させた独特のタッチで作品を展開している。昨年はtagboat主催の「TAGBOAT×百段階段 展」（ホテル雅叙園東京）や、「STAY SHINING」（阪急 MEN’S OSAKA）などのイベントにも参加し、活動の幅を広げている。

　カネコの作品に登場する、グラフィティとアニメが混ざった独特の画風に描かれたモンスターには、人そのものが変容したものから、古い道具類に宿り人をたぶらかすという付喪神の言い伝えにみられる日本のアミニズム的なもの、あるいは情報化社会において処理しきれないほど過剰にあふれる情報そのものなどが託されている。

　カネコは「ノイズ」をテーマに、情報化社会において過剰な情報のなかで振り回され自分を見失っていく人や、意味を失い断片的になっていく言葉を、マンガ的な造形や記号、文字などを組み合わせながら溜まり続けていく日常のノイズとして表現する。今日の日常で誰もが逃れることのできない状況や、漠然と抱く不安といった心理状態をユーモラスなモンスターとして描く。

　tagboatでの初個展となる本展では、新作を含む作品約10点を展示・販売。カネコの変化に富んだポップな絵画空間を楽しみたい。

※タグボートギャラリーは緊急事態宣言発令に伴い、4月25日～5月11日まで休業。5月12日に再開を予定し、本展を5月20日まで延長。最新情報は公式ウェブサイトへ。