EXHIBITIONS

FINCH ARTS Group Show「Aliens」

2021.03.05 - 04.04

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 谷本真理、NAZE、水谷昌人のアーティスト3名によるグループ展「Aliens」がFINCH ARTSで開催されている。

 谷本は1986年兵庫県生まれ。2012年京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。「遊び」や「偶然性」を内包させる彫刻や陶、絵画作品を発表。近年では素材として陶土を選択し、通常では失敗と見なされる焼成時のゆがみや割れ、さらに、陶の表面を覆う釉薬の流れ落ちる特性など、自分の意志とは異なる力による変形をも積極的に取り入れる作品を制作している。

 NAZEはグラフィティカルチャーをベースに、ドローイング、スプレー・ペインティングや、廃棄物を用いたオブジェなど多彩な作品を制作。アーティストユニット「contact Gonzo」のメンバーとしても活動している。近年の主な展覧会に、「一番良い考えが浮かぶとき」(TALION GALLERY、東京、2020)、「net/stoke GRAFFITI」(Vincom Center for Contemporary Art、ベトナム、2017)、「VOCA展2016」(上野の森美術館、東京)などがある。

 水谷は1990年大阪府生まれ。2016年京都市立芸術大学大学院 美術研究科絵画専攻油画コース修了。パネルの背面から絵具を絞り出し描く特徴的な方法論を用いた絵画作品で知られる。死んだイメージに生命をもたらすと本人が語るこの手法により、絵画の物質とイメージが同時に立ち上がる。

 本展では3人の絵画作品を紹介する。谷本は近年取り組む、焼成時のゆがみや割れなどを生かした陶の作品の延長線上にある絵画を発表。新作では、誰かの夢のような、思い出したくても思い出せない記憶のような、届かないイメージを描いている。

 NAZEは新作のスプレーペインティングを発表。タグやイメージが重視されるグラフィティにおいて、描かれる支持体の壁やスプレーそのもののテクスチャを開拓し、新たな言語を開発しようとする意欲作となる。そして水谷は、パネルの背面から絵具を絞り出し描くという、絵画の物質とイメージが同時に立ち上がる手法により、パブロ・ピカソ(の作品)をモチーフとした新作を発表する。

 本展タイトルの「Aliens」はキリンジが2000年にリリースした名曲「エイリアンズ」(作詞・作曲:堀込泰行)から取ったもの。一般に使われる話し言葉や書き言葉とは別の言語であるような、絵画そのものの「言語的な」わからなさに由来している。