EXHIBITIONS
高野萌美「Possibilities in a Filthy Flow」
現代美術家・高野萌美の個展「Possibilities in a Filthy Flow(汚い川にも)」がWHYNOT.TOKYOで開催される。
高野は1993年神奈川県生まれ。2015年にロンドン大学ゴールドスミス・カレッジファインアートコースを卒業。幼少期に親しんでいたコンピュータグラフィックスのピクセルによる図画との類似性から、布の経糸と緯糸が織りなすパターンに興味を持ち、布が抱える社会・文化的背景と美術史が混交する地点を模索している。
「汚い川にも」と題された本展は、かつて家族と暮らす家から自転車を漕ぎ出し、約11キロメートルの河川敷を往復した作家自身の経験に基づき制作された、新作約20点が展示される。
高野が過去に川沿いを走りながら受けた風や草の匂いは、都市のなかで「大いなる存在」としての自然やその聖性を身近に感じた経験として思い起こされるいっぽうで、高速道路や工場、井戸端会議に集まる人々や路上生活者、野球少年、昼寝をする社会人、薄汚れた鳩の群れなど様々に異なるものたちがそれぞれに生きている様子を目撃したことは、世俗的なものと神聖なものとの境界線を意識する出来事となった。
自転車を漕ぐことへの没頭によって、他人との美醜を比較しがちな思春期特有の身体感覚や限られた人間関係など、自身を窮屈に感じされるものから解き放たれて癒されたという遠い思い出。暮らしの延長線上にある行為の繰り返しが自分にとっての大切な儀式のようになっていく感覚は、現在の高野の制作では「流動的な広がり」へ自身を導く反復の手法に還元され、そして他者への語りかけへと昇華される。
高野は1993年神奈川県生まれ。2015年にロンドン大学ゴールドスミス・カレッジファインアートコースを卒業。幼少期に親しんでいたコンピュータグラフィックスのピクセルによる図画との類似性から、布の経糸と緯糸が織りなすパターンに興味を持ち、布が抱える社会・文化的背景と美術史が混交する地点を模索している。
「汚い川にも」と題された本展は、かつて家族と暮らす家から自転車を漕ぎ出し、約11キロメートルの河川敷を往復した作家自身の経験に基づき制作された、新作約20点が展示される。
高野が過去に川沿いを走りながら受けた風や草の匂いは、都市のなかで「大いなる存在」としての自然やその聖性を身近に感じた経験として思い起こされるいっぽうで、高速道路や工場、井戸端会議に集まる人々や路上生活者、野球少年、昼寝をする社会人、薄汚れた鳩の群れなど様々に異なるものたちがそれぞれに生きている様子を目撃したことは、世俗的なものと神聖なものとの境界線を意識する出来事となった。
自転車を漕ぐことへの没頭によって、他人との美醜を比較しがちな思春期特有の身体感覚や限られた人間関係など、自身を窮屈に感じされるものから解き放たれて癒されたという遠い思い出。暮らしの延長線上にある行為の繰り返しが自分にとっての大切な儀式のようになっていく感覚は、現在の高野の制作では「流動的な広がり」へ自身を導く反復の手法に還元され、そして他者への語りかけへと昇華される。