EXHIBITIONS

川田喜久治「エンドレス マップ」

2021.01.20 - 04.10

© Kikuji Kawada Courtesy of PGI

© Kikuji Kawada Courtesy of PGI

© Kikuji Kawada Courtesy of PGI

© Kikuji Kawada Courtesy of PGI

© Kikuji Kawada Courtesy of PGI

 写真家・川田喜久治の個展「エンドレス マップ」がPGIで開催中。会期は4月10日まで。

 川田は、1956年の『週刊新潮』創刊からグラビア撮影を担当し、その後フリーランスとして60年以上写真を撮り続けてきた。メタファーに満ちた作品「地図」(1965)や、天体気象現象と地上の出来事を混成した黙示録的な作品「ラスト・コスモロジー」(1996)、都市に現れる現象をテーマにした「Last Things」(2016)など、つねに意欲的な作品を発表し、日本のみならず世界でも高い評価を受けている。

 65年に刊行されたデビュー写真集『地図』において川田は、原爆ドームの天井や壁のシミと、戦後20年の復興、経済成長を象徴する「都市で拾い集められた時代の」オブジェを繰り返し見せることで、敗戦という歴史の記憶を記号化。本作はセンセーショナルな驚きとともに、川田の評価を決定的なものにした。写真集はその後、2005年に月曜社とナツラエリプレス(アメリカ)から新装本として、14年にはアキオナガサワパブリッシングより復刻版が出版されている。

 いっぽうでプリントとしての「地図」は、写真集に先立って1961年に富士フォトサロンで、74年には「New Japanese Photography」展(ニューヨーク近代美術館)で展示された。その後も様々な美術館やギャラリーでセレクションを変え展示され、2014年にはロンドンのテート・モダンにてプラチナパラジウムプリントによる屏風や、銀塩の大型作品とともに完全版が披露された。

 川田は自身の処女作への探究心を失うことなく、1998年からインクジェットによる作品を制作。また2020年からは「地図」を和紙にプリントすることを始めた。過去のトリミングを放棄し、つまびらかになったイメージ。デジタルにより銀塩では再現し得なかった情報が露わになっている。

 本展では、これらのプリントから約30点を展示。新たな表現を獲得した「地図」を紹介している。