EXHIBITIONS

電線絵画展-小林清親から山口晃まで-

2021.02.28 - 04.18

小林清親 従箱根山中冨嶽眺望 1880(明治13) 千葉市美術館蔵

小絲源太郎 屋根の都 1911(明治44) 東京藝術大学大学美術館蔵

川瀬巴水 東京十二題 木場の夕暮 1920(大正9) 渡邊木版美術画舗蔵

福田豊四郎 スンゲパタニに於ける軍通信隊の活躍 1944(昭和19) 東京国立近代美術館蔵(無期限貸与作品)

朝井閑右衛門 電線風景 1950(昭和25)頃 横須賀美術館蔵

松風陶器合資会社 高圧碍子 1906(明治39) 東京工業大学博物館蔵

岡鹿之助 燈台 1967(昭和42) ポーラ美術館蔵

山口晃 演説電柱 2012 個人蔵 ©️ YAMAGUCHI Akira Courtesy of Mizuma Art Gallery

岸田劉生 代々木附近(代々木附近の赤土風景) 1915(大正4) 豊田市美術館蔵

小林幾英 新よし原仲之町満花の図 1890(明治22) 浅井コレクション

 練馬区立美術館は「電線絵画展-小林清親から山口晃まで-」を開催。美術作品を通して、「電線・電柱」が果たした役割を読み解く。

 街を縦横無尽に走り、美的景観を損ねるものとしてとらえられてきた電線。いっぽうでその雑然感は、私たちにとっては幼い頃から慣れ親しんだ故郷や都市の飾らない風景であり、ノスタルジーとともに記憶に刻み込まれていることだろう。

 日本最古の電線絵画は1854(嘉永7)年、ペリーが横浜で行った電信機の実験に際して、警備を命じられた松代藩の藩士で絵師・樋畑翁輔が描いたスケッチとされている。

 それから、文明開化の誇り高き象徴である電信柱を堂々と画面中央に据えた小林清親、東京が拡大していく証として電柱を描いた岸田劉生、モダン都市のシンボルとしてキャンバスに架線を走らせる小絲源太郎、電線と架線の交差に幻想を見出した「ミスター電線風景」朝井閑右衛門らが、電線や電柱のある景観を描いた。また日本古来の陶磁器産業から生まれた、電線の絶縁器具である碍子(がいし)からも、造形美を発見することができる。

 本展は、小林清親による浮世絵や新しい電線風景を見せる山口晃の作品など、日本画、油彩画、版画、現代美術作品ほか約130点を展示。明治初期から現代に至るまでの「電線・電柱」が担った役割と、各時代ごとに絵画化された作品の意図を検証し、近代都市・東京を新たな視点で見つめ直す。