EXHIBITIONS

西洋の木版画 500年の物語

オーギュスト・ルペール(1849-1918) チュイルリー公園の池 1898 木版(多色) 町田市立国際版画美術館蔵

アルブレヒト・デューラー(1471-1528) 『黙示録』より「四人の騎者」 1498頃 木版 町田市立国際版画美術館蔵

ポール・ゴーガン(1848-1903) ノア・ノア(かぐわしい) 1893-94年(1921年刊) 木版 個人蔵(町田市立国際版画美術館寄託)

ケート・グリーナウェイ(1846-1901) 『窓の下で』より 1878年刊 木口木版(多色) 町田市立国際版画美術館蔵

 ヨーロッパで木版画がつくられるようになったのは、遡ること西暦1400年頃。その半世紀ほど後にグーテンベルクによって活版印刷を発明されると、木版画は本の挿絵に用いられて発展し、アルブレヒト・デューラーによって最初の頂点を迎えた。

 その後、銅版画の登場で版画制作の中心から外れた木版画は日常的な印刷物となり、1880年代末に浮世絵版画をはじめとする異文化の影響を受けて、芸術表現のひとつとして見直される。

 18世紀末に誕生した木口木版の技法は、新聞や雑誌、書籍の挿絵をはじめあらゆる図像印刷に利用され、19世紀の文化を彩った。そして近代の新たな技術により、版画はそれまで担ってきた実用的な役割から解放され、今日も新たな表現がつくり出され続けている。

 仏教版画や浮世絵版画などから思い浮かべる日本の木版画とは異なる展開を遂げてきた西洋の木版画。本展では、500年にわたる西洋の木版画の特色を、町田市立国際版画美術館の収蔵品約120点で紹介。初期の素朴な作品から、精密な表現へ、そして近代以降は浮世絵など異文化の影響を受けて新たな表現を切り開く、木版画の展開をたどる。

 主な出展作家は、アルブレヒト・デューラー、ギュスターヴ・ドレ、ポール・ゴーギャン、アンゼルム・キーファー。15世紀から現代までの流れを追うことができる同館の充実したコレクションも見どころとなる。