EXHIBITIONS

舟越桂展~言葉の森~

舟越桂 そこだけの冬 1997 中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館蔵

舟越桂 雪の上の影 2002 札幌芸術の森美術館蔵 撮影=前澤良彰

 厳かな静寂のなかにたたずむ人物像によって、人という存在の重みと深遠さを表現してきた彫刻家・舟越桂。1951年、岩手県盛岡市に生まれた舟越は、東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了し、文化庁芸術家在外研修員としてロンドンに滞在。77年に函館トラピスト修道院に聖母子像を制作して以来、楠(クスノキ)を素材に、凛とした存在感を放つ人物彫刻を数多く手がけている。第1回タカシマヤ文化基金新鋭作家奨励賞受賞。続いて、第33回中原悌二郎賞優秀賞を受賞し、11年には紫綬褒章受章者となった。

 舟越がかたちづくる彫刻は、人のまとう柔らかな空気までも漂わせる身体と、不可思議な光を宿した瞳が、物質的な次元を超えて、作品に向かい合う私たちに語りかけてくるかのよう。本展では、舟越作品の魅力を「言葉」というキーワードによって再考する。

 会場には、北海道内に所蔵される彫刻作品6点を一堂に集め、作家自身によるエッセイ集に収められた言葉やドローイングとともに紹介。詩的な響きを持つタイトルにも着目し、舟越の作品世界における「かたち」と「言葉」の関係を探る。