EXHIBITIONS

CONTACT―つながる情景

阿部祐己・源馬菜穂・林遼・吉野剛広

2020.07.24 - 09.06

阿部祐己 「Trace of Moutain」より 2013 作家蔵

源馬菜穂 ひととき 2016 作家蔵

林遼 流転 2015 作家蔵

吉野剛広 牧場 2012 作家蔵

 地域ゆかりの作家を紹介してきた茅野市美術館(長野県)は、2020年で開館40周年を迎えた。本展では、地域ゆかりの新しい世代である現代作家、阿部祐己、源馬菜穂、林遼、吉野剛広の4人を特集する。

 阿部祐己は1984年生まれ。長野県茅野市で育ち、日本写真芸術専門学校を卒業。作品の多くは子供の頃から親しんだ霧ヶ峰を被写体とし、遺跡や祭祀、山を守るための火入れの作業など霧ヶ峰にある人々の営みの痕跡を、現在から過去を見つめる眼差しをもって観察・記録している。本展では、霧ヶ峰を題材とした「Trace of Mountain」シリーズと、霧ヶ峰の風景の変化を追った映像作品を展示する。

 源馬菜穂は85年長野県諏訪市生まれ。愛知県立芸術大学と同大学院で絵画を学んだ。自身が見た風景や、音楽などからイメージを生み出し、「風景を見ているときと同じような感覚を描く」ことを目指している。作品は軽やかな筆致と澄んだ色彩が特徴で、自身を包むような自然の空気感を画面につくり上げる。本展では、諏訪市を題材とした作品を中心に、油彩に加え水彩絵具や卵テンペラ絵具、オイルパステルなども併用した作品も並ぶ。

 林遼は85年長野県下諏訪町生まれ。金沢美術工芸大学と同大学院で彫刻を学び、下諏訪の石を素材として、石そのもののかたちを生かしながら、割られた石同士が支え合う接点を意識した作品の制作を行う。石の割れた部分と磨いた部分の表情をとらえながら、さらにその重さに反して軽やかに見せる。本展では、原石を複数に割って再構築した石彫作品から、石とガラスを組み合わせた最新作までを展示する。

 吉野剛広は北海道に生まれ、12年間動物園に勤務した後、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)および同大学院を修了。2007年に長野県原村へ移住し、現在は山梨県北杜市で暮らす。八ヶ岳の森からインスピレーションを受け、「この地にいなければ創造できない」表現を模索している。その作品群は、目に見えない森の世界をどっしりとした色彩と線で描いた絵画や、遠くを静かに見つめるかのような表情をした野生動物たちの木彫・立体作品と多彩だ。本展では、新作も含めた絵画・立体作品を発表する。

「CONTACT(コンタクト)」には「接する、触れ合う、つながる、交流する」といった、自己と他との関わりを表す意味がある。本展では、いまを生きる作家たちによる、この地とのつながりや表現を見つめ、生み出される情景を探る。