岩熊力也展「王国ツアー」

　長野県木曽を拠点に活動するアーティスト・岩熊力也の新作個展が開催されている

　岩熊は1969年東京都生まれ。日本大学芸術学部映画学科で学んだ後、97年にBゼミを修了。2004年にポーラ美術振興財団国際交流プログラムでメキシコに滞在し、11年に同国で初個展を開催した。「VOCA展2008」大原美術館賞を受賞。

　90年代から発表を続ける岩熊は、イメージを水で洗い流した残像としての絵画、また歴史や伝説に取材し、その断片から新たな物語を紡ぎ出すインスタレーションなどを手がけ、絵画表現のあり方を探ってきた。現在は東京から木曽に移り住んで作品制作を行うほか、17年よりアートイベント「木曽ペインティングス」を主催している。

　本展では、紫外線を浴びることで鮮やかなプルシアンブルーを生成するサイアノタイプを使用した絵画およそ5点を発表。木曽から南の島に王国を築くことを夢見た明治時代のある人物の話から着想を得た作品で、鑑賞者を「王国ツアー」に導く。