EXHIBITIONS

上田順平「シン / エン」

上田順平 ソウ / チ 2019 レンガ、テラコッタ、陶器、炻器、半磁器、磁器、ファインセラミックス Photo by Takeru KORODA

上田順平 リ / ジュン 2017 ガラス Photo by Takeru KORODA

 芸術における「やきもの」の可能性を探求し、多様な表現を展開する作家・上田順平の個展が開催されている。

 上田は1978年大阪府生まれ。2003年大阪芸術大学美術学部工芸学科陶芸コース卒業。05年に京都市立芸術大学大学院修士課程美術研究科陶磁器専攻終了。「やきもの」が背負う文化や歴史、「うつわ」という概念、装飾と機能および用途に対しての問いから、それらの関係性に着目した作品を制作してきた。

 10年には「五島記念文化賞美術新人賞」を受賞し、研究員としてメキシコに滞在。研修期間中にメキシコの風土や文化、古代文明を伝える考古学資料に触れ、長い時間のなかで受け継がれてきた「やきもの」の変遷や、文明と技術と芸術の接点について考えるようになったと言う。また研修後の大きな変化として、これまで素材としてきた陶磁器に加え、レンガ、瓦、自動車やスマートフォンなどの部品に用いられるファインセラミックスを用いるようになった。

 本展は、今年1月に横浜市民ギャラリーで開催された海外研修成果発表展での作品を中心に構成。世界最古の建築資材のひとつであるレンガと、焼き物の歴史の最先端に位置するファインセラミックス、そして日本の風土から生み出され育まれ続ける瓦で手がけた多様な「やきもの」で、「最初の理の発見から今日までのヒトの営為と物質と時間の関係」を可視化し、観者のなかにひとつの体験を生み出すことを試みる。