EXHIBITIONS

イメージの洞窟

意識の源を探る

2019.10.01 - 11.24

ゲルハルト・リヒター MV. 6 「Museum Visit」より 2011 東京都写真美術館蔵 © Gerhard Richter Courtesy of Wako Works of Art

志賀理江子 人間の春・私は誰なのか 「ヒューマン・スプリング」より 2019 作家蔵 © Lieko Shiga

オサム・ジェームス・中川 #001 「ガマ」より 2009 東京都写真美術館蔵 © Osamu James Nakagawa Courtesy of PGI

フィオナ・タン 近い将来からのたより 2003 作家蔵 © Fiona Tan Courtesy of Wako Works of Art

「洞窟」をモチーフや暗喩にした写真や映像作品から、イメージや認識がつくられる過程を再考する展覧会。本展には、ジョン・ハーシェル、オサム・ジェームス・中川、北野謙、志賀理江子、フィオナ・タン、ゲルハルト・リヒターの6名が出展する。

「photography」という言葉を考案した19世紀の科学者・写真発明者ハーシェルが、目の前の光景をそのまま写し取って伝えたいという願望を具現化したカメラ・ルシーダ(*1)による洞窟のスケッチ。沖縄のガマ(洞窟)を現代の技術とオリジナルの手作業を融合させて視覚化し、歴史と自らのアイデンティティを重ね合わせるように制作した中川のインスタレーション。乳児を被写体に、人の身体や存在そのものが洞窟のような存在であることを想起させる北野のフォトグラム(*2)。「私は誰なのか」を問いかける志賀の近作。洞窟の湾(いりえ)から始まる古いニュース動画を紡ぐ、未来を予言するようなタンの映像作品。そして、私たちのイメージが洞窟のように複雑に構成されていることを再考させるリヒターの近作群。

 これら洞窟を切り口とした6名の多様な作品を通して、現実と写真、歴史・社会と身体・存在をとらえ直し、現代から未来へつなぐ「像・イメージ」を探る。

*1──カメラ・ルシーダ 目に見える風景など三次元の世界を正確にスケッチするための光学的な器具。
*2──フォトグラム カメラを使わず、様々な物体を印画紙に直接のせて、イメージを写しとる写真の制作技法。