深井克美展

　病に苦しみながらも自己を見つめ、人間という存在と向き合った画家・深井克美の回顧展が開催されている。

　深井は1948年函館市生まれ。自由美術協会で活動していた西八郎の作品に感銘を受けて師事し、72年に同会に初入選。翌年には異例の早さで会員に推挙された。以後、自らの表現を模索しながら制作活動を続けたが、78年にわずか30歳で逝去。その画業は10年にも満たなかった。

　緻密な点描と豊かな色彩で描いた幻想的な作品を描いた深井。ときにグロテスクなまでの印象を与える特異な画風は、画家の内奥に秘められた生の苦悩と悲しみを色濃く投影し、描くことへの魂の叫びが込められた作品は見る者を圧倒する。

　本展では、深井の初期作から絶筆まで、代表的な作品を展示。没後5年に開催された回顧展以降の研究成果を踏まえながら、画業に大きな影響を与えた作家たちの作品や関連資料なども加え、ひとりの画家の足跡を丁寧にたどる。