EXHIBITIONS

海を渡った版画家 山岸主計

‐ 藤沢市所蔵作品を中心に ‐

2018.03.03 - 04.01, 2018.04.07 - 05.06

山岸主計 カリホルニヤにて(部分) 1927

山岸主計 カリホルニヤにて 1927

山岸主計 日蓮・龍口寺 制作年不詳

 日本の風景を描き、国際貢献にも努めた版画家、山岸主計(かずえ)の回顧展が開催される。

 主計は1891年長野県上伊那郡美篶(みすず)村(現・伊那市)に生まれ、15歳で上京し木版彫刻家、武藤李吉に師事。やがて師匠に代わって読売新聞社に出勤し、挿画を彫り木版の腕を磨くと同時に、黒田清輝率いる葵橋洋画研究所で美術を学んだ。

 1926年には、文部省より欧米における版画についての調査を託され渡航。各国で視察と版画の実技を行いながら、後に着手するシリーズ「世界百景」の写生を進める。帰国後は、絵を描き、版を彫り、紙に刷るまでを単独で行う「創作版画」に取り組むいっぽう、横山大観や石川寅治ら画家の作品を版画にするなど精力的に活動した。戦時中は従軍画家としてアジア諸国へ赴き、戦地の光景も作品に残している。
 
 本展では、藤沢市が所蔵する主計の作品を中心に、第1期では世界の風景や人々の暮らしを描いた「世界百景」シリーズ、第2期では日本の名所や風俗を作品化した「日本百景」シリーズなど代表作を紹介。また、名だたる画家たちから高い信頼を得た彫り師としての功績にも焦点を当てる。