五木田智央 PEEKABOO

　1969年生まれの五木田智央は、90年代に雑誌やCDジャケットのイラストレーションを制作。以降一貫して60～70年代アメリカのサブカルチャーやアンダーグラウンドの雑誌、写真にインスピレーションを得た作品を発表してきた。コラージュ的にモチーフを構築する自由な発想と方法は、五木田のドローイングや絵画全般における創作の原点となっている。2009年開催のロサンゼルスの個展では絵画作品が完売するなど、国内外で注目を浴びてきた五木田の個展が開催される。

　モノクロームを基調とした五木田の作品には、計算されたグラデーションや陰影が生み出す魅力、シンプルな描線とデフォルメされたいびつな造形のコントラストが醸すユーモアやノスタルジー、具象と抽象の間を自由に行き来するイメージの両義性など、多彩な表現の可能性が内在する。そして、ときに思わせぶりでミステリアスに描かれるイメージや状況設定は、鑑賞者の想像力に強く訴えかけ、独自の絵画世界へと誘う。

　本展では新作の絵画、ドローイングを中心に、近年の代表作や800点以上のドローイングからなる大規模なインスタレーションなど、作品約40点を展示する。