EXHIBITIONS

小磯良平と吉原治良

2018.03.24 - 05.27

小磯良平 踊りの前 1934 京都市美術館蔵

小磯良平 自画像 1927 東京藝術大学蔵

小磯良平 踊りの前 1934 京都市美術館蔵

吉原治良 黒い帽子の自画像 1928 大阪新美術館建設準備室蔵

吉原治良 作品3 1934 芦屋市立美術博物館蔵

 戦前から戦中、戦後にわたって阪神間を主な拠点として活躍した画家、小磯良平と吉原治良。

 東京美術学校卒業後に渡欧しアカデミックな西洋美術を学んだ小磯は、帰国後に官展や新制作派協会で類いまれなデッサン力を駆使した珠玉の人物画を数多く発表し、日本を代表する具象絵画の巨匠として活躍した。

 いっぽうの吉原は、家業である製油会社を経営しつつ、ほぼ独学で絵画の技法を習得。戦前の海外の抽象絵画に影響を受けた前衛的な作品を二科会の九室会で発表し、戦後は日本の前衛美術を代表する具体美術協会の主宰者として数多くの抽象絵画を手がけた。

 ほぼ同時代を地理的にきわめて近い位置において制作してきたにもかかわらず、同時に評価する機会はほとんどなかった小磯と吉原。しかし、ともに西洋美術に自らの創作の規範を求め、それを極限にまで推し進めることで同時代の日本の美術界に大きな影響力を与えたこと、戦後には、片や母校の東京藝術大学で、片や具体美術協会を中心とした組織で優秀な後進を数多く輩出したこと、また戦後にともに舞台美術を手がけたことなど、その画業には共通点が見られる。

 同展では、阪神間が生んだ2人のモダニストの足跡を、代表作を時代毎に並置。両者の対照性と類似性を明らかにしながら、それぞれの画業を再確認する。