EXHIBITIONS

昭和が生んだ写真・怪物

時代を語る林忠彦の仕事

2018.04.01 - 05.31, 2018.06.01 - 07.31

林忠彦 《太宰治 酒場ルパンで》 昭和21(1946) © 林忠彦作品研究室

林忠彦 《太宰治 酒場ルパンで》 昭和21(1946) © 林忠彦作品研究室

林忠彦 焼け跡の母子 昭和22(1947) © 林忠彦作品研究室

林忠彦 日本劇場の屋上 昭和22(1947) © 林忠彦作品研究室

林忠彦 有楽苑 如庵 有楽窓〈茶室〉より 昭和55(1980) © 林忠彦作品研究室

林忠彦 豊川稲荷〈東海道〉より 昭和63(1988) © 林忠彦作品研究室

 作家・太宰治や坂口安吾の肖像写真で知られる林忠彦の生誕100年を記念する展覧会が開催される。

 林は、戦後間もない銀座から再出発し、大衆向けに出版されたカストリ雑誌のブームの時流に乗って、一躍人気写真家となった。第二次世界大戦から高度経済成長、そしてバブル景気へと移り変わる激動の昭和時代に、世相をとらえたスナップから文化人のポートレート、日本文化の真髄を追い求めた風景写真まで、ありとあらゆるものをフィルムに写し込んでいる。復興する日本のエネルギーを吸収し、凄まじい勢いですべてを撮り尽くすかのような林の仕事ぶりは、「昭和が生んだ怪物」と呼ぶに匹敵するだろう。

 本展は、林の約半世紀におよぶ活動の中から2つの時代に焦点を当て、第1部では林の初期の傑作〈カストリ時代〉に代表される戦後の東京と人々を記録したモノクロ作品を展示。第2部では、国宝や重要文化財に指定される全国各地の茶室を被写体に、林の美意識と撮影技術の粋を極めた「茶室」と、人生最後のライフワークとして四男・義勝とともに完成させた「東海道」より、厳選したカラー作品を公開する。