ライアン・ガンダー

　美術作品や普段の生活で遭遇する物事を素材にオブジェ、インスタレーション、絵画、写真、映像、印刷物などを制作するイギリス出身のアーティスト、ライアン・ガンダー。本展はガンダーによる公立美術館における初の大規模個展となる。

　作品だけではなく作品にまつわる思考をも重視し、美術全般についての考察、見ることについての洞察、日常経験の分析など、知的かつ多彩な思考に満ちているガンダーの作品。それらは、意外なもの同士の結合、架空の状況の設定、情報の部分的な隠蔽、ユーモアの導入、過去と未来への誘導など、一風変わった制作手法をとりながらも、理にかない示唆に富む。本展は、新しいコンセプチュアル・アートの旗手と目されるガンダーの重要作と新作約60点を紹介する。

　また、ガンダーが企画する所蔵作品展（『ライアン・ガンダーによる所蔵作品展 ‒ かつてない素晴らしい物語』/“The Greatest Story Ever Told - The Collection curated by Ryan Gander”）も同時開催。「比較して考える」という人間の本能的な能力を前提に所蔵品を多数のペアとして紹介する本展は、類似に基づきながらもジャンルや時代が異なるため、鑑賞者に新鮮な観点を提供する。