EXHIBITIONS

快慶

日本人を魅了した仏のかたち

2017.04.08 - 06.04

快慶作 弥勒菩薩坐像 醍醐寺蔵 重要文化財 展示期間=4.25-6.4

 日本を代表する仏師のひとりであり、運慶ともに鎌倉彫刻様式の完成に重要な役割を果たしてきた快慶の代表的な作品を一堂に集め、その軌跡をたどる。

 建久3(1192)年、無位でありながら後白河院追善の造像に抜擢されるなど、康慶の弟子のなかでも特殊な立場にあった快慶だが、こののち運慶と肩を並べて活躍の舞台を得る画期となったのは、後白河院主導のもと重源により進められた東大寺再興造像だった。

 「巧匠アン(梵字)阿弥陀仏」と称したことからもわかるように、快慶は単に仏師として重源にしたがっていたのではなく、熱心な阿弥陀信仰者として造仏に臨んだ。彼が生涯をかけて追求した実在感と格調の高さを兼ねそなえた阿弥陀如来立像の姿は、後世「安阿弥様(あんなみよう)」と称され、来迎形阿弥陀の一典型としてながく受け継がれていく。平安時代には、仏師定朝(じょうちょう)が「仏の本様」と謳われる理想的な仏の姿をつくり出したが、快慶はこの定朝にも匹敵する役割を果たしたといえるだろう。

 本展は、快慶の代表的な作品を一堂に集めて、日本の仏教美術史上に残した偉大な足跡をたどる。さらに作品の成立と密接に関わる絵画や、高僧たちとの交渉を伝える史料をあわせて展示。いまだ多くの謎に包まれた快慶の人物像に迫る。