海と山のアート回廊

　海と山とが近接し、ノスタルジックな風景の広がる広島県の尾道市と福山市。このエリアの美術館、寺院など8ヶ所を拠点としたアートプロジェクトが開催されている。

　フェリーでアクセスする離島、百島の「アートベース百島」では美術家、柳幸典の大型作品のほか、ものに宿る記憶や痕跡を写真にとらえる石内都の作品「フリーダ・カーロ」シリーズが登場。いっぽう浄土寺では、榎忠による、金属部品を無数につなぎ合わせた未来都市を思わせるインスタレーション作品が展示し、もとはコミュニティスペースであった「旧絵のまち館」では鴻池朋子、小泉明郎、渡辺豪ら9名の映像上映が行われる。

　そのほか、鞆の津ミュージアムでは、介護という行為自体を作品化するシリーズなどを手がける折元立身のパフォーマンスを記録した映像上映が行われる。

　廃校、廃墟、寺院、美術館など、点在する場所の記憶・歴史と作品が重なり合う美術の回廊を楽しみたい。