伊藤桂司「VERDE CÓSMICO」

　PARCELでは、伊藤桂司の個展「VERDE COSMICO」が開催される。

　伊藤は1958年東京都生まれ。広告、書籍、音楽関係のアートディレクション、グラフィックワーク、映像などを中心に幅広く知られている。近年は作家業にシフトをしながら、精力的に展示活動を行ってきた。伊藤が用いる手法はビンテージ雑誌などを使用したコラージュ、マーカーなどの線で輪郭が強調されたドローイングシリーズ、そしてペインティングと多岐にわたる。

　本展では、2019年の諸橋近代美術館の開館20周年記念展「四次元を探しに ダリから現代へ」に出品して好評を博し、のちに山梨のgallery Traxでも展示したグリーントーンで描かれたペインティングシリーズの新作を発表する。

　このペインティングシリーズは、星空のなかに浮かぶ奇妙な物体とそれが安置されている黄緑な風景画という要素により構成される。グリーントーンのインスピレーションは、実際に体験した満月の夜や、旅先で見た星空であり、山や草原などの風景も散歩中に出会ったもの、写真に収めた景色などから得ているという。また、画面内に出現する鳥やぬいぐるみのようなモチーフ、ガラスの置物などは作家本人が訪れた先々で蒐集したり、過去に制作したものなどだ。伊藤はグリーントーンの絵画作品について、「日常と非日常のはざまに現れる不思議な絵を描き出して、共有してみたくなった」と語っている。