EXHIBITIONS
中野裕介/パラモデル「かなたをよむ:海と空のあいだのP」
中野裕介/パラモデルは、書物やマンガ、古典芸能など古今東西のテキストや語りの言葉を猟歩し創作を行っている現代アーティスト。その展覧会「かなたをよむ:海と空のあいだのP」が熊本県の宇城市不知火美術館で開催されている。図書館と美術館を併設する同館だからこそ実現した「本×美術館」の展覧会。
中野は1976年生まれ。2002年京都市立芸術大学大学院絵画専攻(日本画)修了。03年に同大学の林泰彦とアートユニット「パラモデル」を結成し、メタフィジカルな「模型遊び」をテーマに多くの作品を発表。図書館勤務(2011~17年)を経た現在の個人活動では、描画やテキスト・空間表現を軸に、文学・哲学・マンガ・建築・郷土文化・古典芸能など古今の書物を横断し題材とする創作を続けてきた。
本展では、「図書館とは世界の模型であり、世界は永遠に完成しない一冊の巨大な書物」と空想する中野が、図書館を併設する不知火美術館において、不知火海や熊本にまつわる文学や芸能をリサーチして創作した新作を発表。不知火美術館の展示室空間を大胆に使い、複数の映像と巨大なドローイングを交錯させ、「読書体験」を美術館で生成変化させる新感覚の作品を展開している。
中野は、自身の出身地・東大阪に生まれた「俊徳丸」伝説を十年以上追い続けているなかで、かつての熊本で、盲目の人が琵琶を持ち、門付けや神事、説教節などを語って移動し生計を立てていた「琵琶法師」と呼ばれる人々にたどり着いたという。
今回、もうひとつ中野が注目しているのが、水俣の負う傷と向き合い、不知火海から生まれた石牟礼道子の作品だ。いずれの地域においても歴史のなかで負った「傷」を、人々は時に芸に反映させ、時に哲学を生み出してきたことにふれ、「欠如と創造」に着目した中野はそれを新作に反映させた。
本展は、石牟礼道子や肥後琵琶の語りを導き手に、テキストや風景の断片と自由に戯れる中野の眼差しを通して、アートも含む表現が、その土地の傷と対峙して生み出してきた創造力を感じられる機会となる。
中野は1976年生まれ。2002年京都市立芸術大学大学院絵画専攻(日本画)修了。03年に同大学の林泰彦とアートユニット「パラモデル」を結成し、メタフィジカルな「模型遊び」をテーマに多くの作品を発表。図書館勤務(2011~17年)を経た現在の個人活動では、描画やテキスト・空間表現を軸に、文学・哲学・マンガ・建築・郷土文化・古典芸能など古今の書物を横断し題材とする創作を続けてきた。
本展では、「図書館とは世界の模型であり、世界は永遠に完成しない一冊の巨大な書物」と空想する中野が、図書館を併設する不知火美術館において、不知火海や熊本にまつわる文学や芸能をリサーチして創作した新作を発表。不知火美術館の展示室空間を大胆に使い、複数の映像と巨大なドローイングを交錯させ、「読書体験」を美術館で生成変化させる新感覚の作品を展開している。
中野は、自身の出身地・東大阪に生まれた「俊徳丸」伝説を十年以上追い続けているなかで、かつての熊本で、盲目の人が琵琶を持ち、門付けや神事、説教節などを語って移動し生計を立てていた「琵琶法師」と呼ばれる人々にたどり着いたという。
今回、もうひとつ中野が注目しているのが、水俣の負う傷と向き合い、不知火海から生まれた石牟礼道子の作品だ。いずれの地域においても歴史のなかで負った「傷」を、人々は時に芸に反映させ、時に哲学を生み出してきたことにふれ、「欠如と創造」に着目した中野はそれを新作に反映させた。
本展は、石牟礼道子や肥後琵琶の語りを導き手に、テキストや風景の断片と自由に戯れる中野の眼差しを通して、アートも含む表現が、その土地の傷と対峙して生み出してきた創造力を感じられる機会となる。