イヴ・ダナ

　1959年エジプトに生まれ、61年に家族とともにスイスに亡命したイヴ・ダナは、ローザンヌ大学で社会学を学びながら、83年にジュネーブ高等視覚芸術学校で学位を取得。82年にスイスで初個展を開催して以来、今日までスイスを中心にヨーロッパやアメリカ、シンガポールなどで発表を重ねている。ビルバオ・グッゲンハイム美術館やテルアビブ美術館、また多くの財団、企業、個人コレクションに作品が収蔵されている。

　ダナは、彫刻の歴史のなかでももっともオーソドックスな素材を用いて抽象的な作品を制作する。初期は主に鉄を素材に、その後ブロンズや石彫へと仕事の幅を広げ、現在では石彫が中心。素材は変化しているが、デッサンやマケットを準備することなく直接素材と向き合い、アシスタントや技術者に任せることなく全ての工程を自らの手作業で行っている点は一貫している。

　本展は東京での初個展で、石彫５点とブロンズ彫刻２点で展示を構成する。