ヴィヴィアン・サッセン

　1972年生まれのヴィヴィアン・サッセンは、南アフリカで幼少時を過ごしたというルーツと、オランダ人ならではの絵画的かつ構築的なポートレートをとらえる美的感性が生みだす唯一無二の現代的な写真で世界屈指のファッション・フォトグラファーとして活躍。いっぽうで、現代アーティストとしても着実な進化を遂げており、美術館やビエンナーレなど国際展での展示を重ね、高い評価を浴びてきた。

　「Of Mud and Lotus」は、「泥なきところに蓮華は咲かぬ（泥中の蓮）」ということわざからインスピレーションを得ている。本展でサッセンは、女性性という原始的な概念がもつ全ての「豊かさ」同士の有機的な戯れを表現。コラージュや自身の手で彩色された写真などを用いて、アブストラクトとパフォーマンスの概念を巧みに織り交ぜ、それにより生みだされる緊張感のある色彩とテクスチャーがイメージをより多層的で豊かなものにする。みっしりと群れた菌や胞子は、身体の細胞の増殖を思い起こさせ、卵、ミルク、花などの有機的な素材は、女性の身体の豊かさを表しながらも自然界にあふれる豊かな曲線を強調している。

　本展では、日本初公開の作品全24点を展示する。