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ジグマー・ポルケ

Sigmar Polke

 ジグマー・ポルケは1941年東ドイツ(現・ポーランド)シュレージェン地方エルス生まれ。53年に西ドイツに亡命し、デュッセルドルフに移住。61〜67年までデュッセルドルフ美術アカデミーで絵画を習得し、ヨーゼフ・ボイスのクラスで学んだ。アメリカから西ドイツにもたらされたポップ・アートなどの影響を受けて、ドイツの美術が変化のただ中にあった60年代後半に、ゲルハルト・リヒターらとともに「資本主義リアリズム」を提唱する。ポルケはとくにドットの作品で知られ、模様がプリントされた布地の支持体や、温度などで変化する画材を使用したほか、透明なシートに重ね描きをすることで作品全体に歪みを生じさせるなどの実験的な制作によって独自の画風を確立。ポップ・アートの手法を皮肉を込めて踏襲しつつ、様々な素材や様式を自由に組み合わせ、印刷文化におけるイメージや絵画そのものについて再考することを試みた。「資本主義リアリズム」は後に、「ドイツ・ポップ・アート」や「ジャーマン・ポップ・アート」とも呼ばれ、リヒターらとともに80年代に入って評価され始める。86年には第42回ヴェネチア・ビエンナーレで金獅子賞を受賞。日本では、92年に「アイ・ラブ・アートⅡ」展(ワタリウム美術館、東京)に出展したほか、94年にワコウ・ワークス・オブ・アート(東京)で初個展を開催。2002年に第14回高松宮殿下記念世界文化賞(絵画部門)を受賞。05年に「ジグマー・ポルケ展 ~不思議の国のアリス~」が上野の森美術館で開催された。10年没。