EXHIBITIONS

坂田一男 捲土重来(けんどちょうらい)

坂田一男 コンポジションA 1948 個人蔵

坂田一男 キュビスム的人物像 1925 岡山県立美術館蔵

坂田一男 静物II 1934 大原美術館蔵

坂田一男 コンポジションのエスキース 制作年不詳 個人蔵

坂田一男 構成 1946 宇フォーラム美術館蔵

 1920年代のフランス美術界で勇躍した前衛画家・坂田一男の“現在の画家としての”全貌に迫る展覧会が開催される。

 坂田は1889年岡山県生まれ。父は医学者の坂田快太郎で、自身も当初医者を目指すが、中学卒業後のノイローゼ療養中に学んだ絵の道を志す。1921年に渡仏。アカデミー・モデルヌでフェルナン・レジェに師事し、後に助手を務める。滞仏中は複数のサロンの会員となり、国際展への参加やギャラリーで大規模な個展を開催するなど一線で活躍した。

 33年の帰国後は 倉敷市玉島のアトリエで生涯筆を執り、49年には前衛美術集団「アヴァンギャルド岡山(A.G.O)」を主宰。しかし生前は岡山以外で大きく紹介されることはほぼなく、没後に日本の抽象画家の先駆者として高く評価されるようになった。

 本展は、近代美術史を精緻に解析し、その可能性の再発掘と刷新に挑む造形作家の岡﨑乾二郎が監修。岡﨑いわく、「『背景』とみなされるような領域にボリュームを与え、それをさらに複数化して同時に折り畳む」という込み入った操作を実践していた坂田の複雑な空間操作を解析すべく、本展では坂田と同世代の画家や意外な作家たちを組み合わせて比較展示する。

 出展作家は、坂本繁二郎、ル・コルビュジエ、ジョルジオ・モランディ、ニコラ・ド・スタール、山下菊二、リチャード・ディーベンコーン、ジャスパー・ジョーンズ、若林奮ら。「ワシの絵は50年経ったら分かるようになる」という言葉を残した坂田の死から60年以上が過ぎたいま、精緻な分析者の目でその謎に挑む。