あの人のアートコレクションが見たい!:水戸部七絵の大型作品からコレクションを始めた中崎恵美さん

急増しているアートコレクター。作品が飾られているコレクターの自宅を、自身もコレクターであるコバヤシマヒロが訪問して紹介。作品を愛するそれぞれの人柄が現れるような、千差万別のアートコレクションをお届けします。

文=コバヤシマヒロ

中崎恵美さんのコレクションより、水戸部七絵の大型作品
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 これまで、何人ものコレクターに、初めて購入した作品=ファーストピースについて詳しく聞いてきましたが、最初は小ぶりなものを入手される方がほとんど。そのうち、大きな作品に挑む方が多いと実感しています。しかし、今回、ご紹介するアートコレクターの中崎恵美さんは、ファーストピースが1.5メートル×1メートルという水戸部七絵の大型絵画。筆者が運営する渋谷の「biscuit gallery」で初めて購入し、アートコレクターの道へと進まれた方です。

中崎恵美

 中崎さんは、東京・渋谷で皮膚科クリニックを経営する医師。「クリニックの近くにあるギャラリーが気になって入ってみて、何度か通ううちに『ちょっと手を伸ばせばアートが買える』ということがわかりました。購入する機会をうかがっていたところ、水戸部七絵さんの個展「Rock is Dead」のDMに出会って衝撃を受けたんです」と中崎さん。

水戸部七絵「Rock is Dead」のDM

 「これまでアートにまったく興味がなかったですし、美術館にもたまに行く程度で、本当に接点がなかったんです。じつは、直島にも行ったことがあるのですが、アートに触れたくて行ったわけではなく、たまたま行ったところにアートがあったというようなレベルでした。なので、まさか作品を買うことになるとは思っていませんでした」。