EXHIBITIONS

高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.09

時どきどき想像

2020.10.31 - 12.13

保井智貴 sign Photo by Kohei Yamamoto Courtesy of MA2gallery

蝸牛あや 讃歌 Courtesy of MEGUMI OGITA GALLERY

蝸牛あや 王国 Courtesy of MEGUMI OGITA GALLERY

井上佐由紀 私は初めてみた光を覚えていない 東京都写真美術館蔵

井上佐由紀 くりかえし

後藤映則 WALK #01

後藤映則 NUMBER #01

保井智貴 sign Photo by Kohei Yamamoto Courtesy of MA2gallery

大西康明 体積の裏側 RG Photo by Seiji Toyonaga Courtesy of ARTCOURT Gallery

大西康明 日々の距離

「高松コンテンポラリーアート・アニュアル」は、独創性、将来性のある優れた作家を発掘・紹介する現代美術のグループ展。10回目の節目を迎える2020年では、「時どきどき想像」をテーマに開催する。

 本展の参加アーティストは、蝸牛あや(1978年、兵庫県生まれ)、井上佐由紀(1974年、福岡県生まれ)、後藤映則(1984年、岐阜県生まれ)、保井智貴(1974年、アントワープ生まれ)、大西康明(1979年、大阪府生まれ)。高松では初紹介となる5人の作家による芸術表現を通して、様々な「時」を想像する。

 蝸牛は、貝殻や石といった自然のつくり出したかたちや色、模様に、太古の物語をひも解き絹糸で刺繍。波や間欠泉、新生児の瞳を被写体に撮影を行う井上の写真は、万物に必ず来る「終わり」を予感させる。後藤は、旧石器時代の洞窟壁画や19世紀の映像装置を源泉に、3Dプリンティングを用いて、時を立体的に見ることを試みる。

 乾漆や漆、螺鈿の伝統技法や3Dデジタル技術を駆使した保井の木彫は、人や社会がもつ記憶、それらが影響し合うさまを考えさせる。そして大西は、接着剤やポリエチレンシートなどの素材を用いて空洞や余白を視覚化し、「現在」を構成する空間の裏側を示唆する。

 本展は「時を想像する」をテーマに、刺繍や写真、木彫、ポリエチレンシートを使ったインスタレーションなど、日常生活のなかで目にしたことのある素材や技法を用いた作品を展開。5人の作家による独自のアプローチや多様な表現にふれることで、「時」という存在について、また「畏れ」や「記憶」といった不可視なもの、身の回りや社会の「目にはみえないもの」について深く考え、思いをめぐらせる機会となるだろう。