田中かえ

　幼少期に読んだ手塚治虫の影響でアーティスト活動を開始した田中かえが、多摩美術大学卒業後初の本格的な個展を開催する。

　田中かえは1995年生まれ。2010年代前半のTumblrを主体とするインターネット・カルチャーを跨いだデジタルネイティブ世代のアーティストのひとりであり、SNSを通し数多くの反響を呼んできた。キャラクターを主体とする田中の作品の幅は広く、様々なコンテクストが登場。「目や顔が歪んだキャラクターシリーズ」は、作家の関係性において嫌悪感や恐怖感を得た対象である当事者たちの顔をシリコンで立体にし、鉄球などの重りで思念を込めた「制裁」を下した後、ランダムに伸ばした表情をモチーフとしている。

　また、長らくともに時間を過ごしてきたペットの死から着想を得て「妖怪たちがキャラクターを囲うシリーズ」を制作。「モノノ怪」 に反した「ヒトノ怪」をキャラクターたちの側に寄り添わせるなど、自身や女性をモチーフとしたキャラクター生成と恐怖との関係を図っている。

　本展では、キャンバスを支持体とした幽霊画を中心に展示。また、画家・あけたらしろめとのコラボワークによる5メートルの百鬼夜行など、新作と過去作品を含めたおよそ50点が並ぶ。