EXHIBITIONS

林菜穂「室内/Room ver.2」|岡野智史「室内/Room ver.2」

2024.04.18 - 05.11

林菜穂 小さい朝

岡野智史 laboratory

 CLEAR GALLERY TOKYOで、林菜穂による個展「室内/Room ver.2」と、岡野智史による個展「室内/Room ver.2」が、ギャラリーのメインスペースと、ビューイングスペースにて開催されている。本展は、ART FAIR TOKYO 2024にて、林と岡野の二人展として室内をテーマに制作した作品数点を軸として、旧作、新作を追加し再構成した展示となる。

 林は暮らしのなかで見聞きした私的な場面を、そのイメージと関わりある材料を意識的に選択しながら作品を制作。それは例えば庭に自生していた植物を煮出して顔料化した自作の絵具を用いたり、生きていくうえで関わりの深い素材を材料に選ぶことで、生きることと絵を描くことをつないでいるという。また繰り返し描かれるモチーフ、部分的に描き込まれたディティール、素地の余白、それらは絵画空間においてより現実感をもって作家の視点を浮かび上がらせる。

 いっぽう、岡野はキャンバス自体が発光しているような絵画を目指し、絵画の二次元的性質を利用しながら絵画の(支持体の)物質性を提示。作品のモチーフは昔のテレビアニメの一場面や古雑誌から抽出、また最近ではAIとの共同作業から生成されており、作家の個人的な思いや意図と一定の距離を保つことで、対象物をどのように描くかという試験的な探求に注力している。

 絵画に内包された時間やイメージに垣間見るリアリティと、絵画そのものと対峙したときに観者とのあいだで交錯するリアリティを体感してほしい。