EXHIBITIONS

浅香弘能展示 「KASHOUMON」「KABUKIMON」

2023.09.30 - 10.13

浅香弘能 KASHOUMON -ENKU-神像 (1~9)

 銀座 蔦屋書店で、浅香弘能による個展「KASHOUMON」「KABUKIMON」が開催されている。

 浅香は1977年大阪府堺市生まれ。京都造形芸術大学美術学科を卒業後、国内外多数の個展・グループ展で20年以上にわたり、石を素材とした様々な彫刻作品を発表してきた。

 本展では、まるで発泡スチロールのように石を彫り込んだ「KASHOUMON」シリーズと、「武士道と反骨精神」をテーマに刀をモチーフとして石を極限まで削り出した「KABUKIMON」シリーズを同時展開する。

 「KASHOUMON」シリーズは、古代ギリシャの哲学者プラトンのイデアでいう「現象」に対する「仮象」と錯覚というコンセプトをもとに「真のリアルとはなにか」を追求した彫刻となている。本展では、円空をモチーフにした最新作を公開。浅香は、道具の痕跡や作者の手跡が作品性に大きく関係する彫刻表現において、自身の作品と円空仏の大きな特徴であるダイナミックな鑿跡による表現に共通点を見出しましたという。新作「KASHOUMON -ENKU-神像」は、一見すると発泡スチロールを熱線で切ったかのように見えるが、円空表現と同じく一体一体丁寧に彫り上げた石仏だ。

 いっぽう「KABUKIMON」シリーズは、日本刀をモチーフにして武士に通ずる魂を表現した作品となっている。刃物で有名な大阪府堺市で育った浅香は、幼い頃から伝統的な日本刀づくりに慣れ親しみ、湾曲した日本刀の機能美に魅せられてきた。何世紀にもわたって日本の美術をかたちづくってきた伝統に敬意を払い、彫刻の美しさとサブカルチャーの要素を融合させた独自の世界観を目指しているという。