EXHIBITIONS

大山エンリコイサム 「Notes Rings Spirals」

大山エンリコイサム FFIGURATI #516 2023 Artwork ©︎Enrico Isamu Oyama Studio

 アニエスベー ギャラリー ブティックで、大山エンリコイサムの個展「Notes Rings Spirals」が開催される。

 大山(1983年〜)は代表的なモティーフ「クイックターン・ストラクチャー(QTS)」を配したメディア横断的な作品で知られる。ストリートアートに高度な表現性を見出し、このジャンルの軌跡をひもとくとともに貴重なアーカイヴを積み重ねてきた。監修をつとめた『美術手帖』の特集「SIGNALS! 共振するグラフィティの想像力」(美術出版社、2017年6月号)では、アニエスベーとグラフィティ・アーティストのフューチュラ2000の関係を活字化している。

 1984年にパリに開廊したアニエスベーのギャラリー、ギャラリー デュ ジュールは、オープン当初からストリートを活動の場とする多くのアーティストたちを紹介してきた。

 大山が本展のために制作した34点の作品には、アニエスベーが過去に制作したコンセプトシートが使用されている。ブランドの痕跡を作品に残すということではなく、シートに印刷されていたオリジナルのイメージや、シート裏に存在する別のイメージといった目に見えない構成要素の積層によって、時間の厚みを想像させている。またそこにQTSの造形が重ねられ、また大山が本展に特有の新しいモティーフとして見出したスパイラルリングがそのかたわらに設置されることで、複雑でゆたかな空間が生み出されている。

 本展示開催に先駆け、6月8日からアニエスべー渋谷店ファサードにも大山のクイックターン・ストラクチャーが出現している。