EXHIBITIONS

特別展示:オラファー・エリアソン

2022.07.23 - 09.11

オラファー・エリアソン 太陽の中心への探査 2017
金沢21世紀美術館蔵 撮影=福永一夫 © Olafur Eliasson
「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」(東京都現代美術館、2020)での展示風景

オラファー・エリアソン 太陽の中心への探査 2017 太陽光発電ユニット(ソーラーパネル及び蓄電池等電源供給システム)
「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」(東京都現代美術館、2020)での展示風景
金沢21世紀美術館蔵 撮影=福永一夫 © Olafur Eliasson

オラファー・エリアソン 太陽の中心への探査 2017
金沢21世紀美術館蔵 撮影=福永一夫 © Olafur Eliasson
「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」(東京都現代美術館、2020)での展示風景

オラファー・エリアソン 太陽の中心への探査 2017
金沢21世紀美術館蔵 撮影=福永一夫 © Olafur Eliasson
「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」(東京都現代美術館、2020)での展示風景

 金沢21世紀美術館では、「特別展示:オラファー・エリアソン」が開催される。

 現在、ベルリンとコペンハーゲンを拠点に活動するオラファー・エリアソンは、1990年代初めから写真や彫刻、ドローイング、インスタレーション、デザイン、建築など、多岐にわたる表現活動を展開してきた。とりわけアートを介したサステイナブルな世界の実現に向けた試みにおいて、国際的に高い評価を得ている。

 今回の特別展示は、エリアソンのエコロジーと、再生可能エネルギーへの関心から生み出された《太陽の中心への探査》(2017)を、同館に収蔵されてから初めて披露する。

《太陽の中心への探査》は、ガラスで覆われた多面体と太陽光発電ユニット(ソーラーパネル及び蓄電池などの電源供給システム)により構成された作品。作品の中心部に光源が取り付けられており、そこから突き出したアームの先のライトがゆっくり回転することで、部屋の中央に固定してつられたガラスの多面体があたかも回転しているかのように、光が動いて部屋を照らし出す。

 エリアソンが率いる「スタジオ・オラファー・エリアソン」の開発した偏光フィルターが装着されたガラスの多面体からの光は、部屋全体に銀河のように輝くリフレクションを投射し、見る者を作品世界へと没入させ、魅了する。それは私たちの生存に欠かせない太陽とその周囲を公転する惑星との関係を想起させるとともに、この世界を成り立たせている構造や法則への志向も見てとれる。

 光庭に設置したソーラーパネルから得た電気エネルギーを得て動く《太陽の中心への探査》は、地球環境の不可逆的な変化に見舞われている私たちに、伝統的な進歩史観への再考を促し、持続可能な社会に向かう新しい視点を呼び覚まさせる。

 本展覧会を通じ、現在のエコロジー下における芸術の可能性と、複合多面体と光の反射が生み出す、エリアソン作品による知覚体験を楽しみたい。