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長谷川学

Manabu Hasegawa

 長谷川学は1973年東京都生まれ。2000年多摩美術大学美術学部絵画科版画専攻卒業。銃器やナイフなど、金属の質感を鉛筆と紙のみで忠実に表現する立体作品を制作している。紙を対象の凹凸にこすりつけて描画するフロッタージュの技法をベースとして、表面のみに重厚な質感を施した紙製の銃器は、中身が空洞で、精巧さと強くさわれば壊れてしまう儚さを併せ持つ。関心を寄せていた仏教をきっかけにたどり着いた、異なる思想が同時に存在する平家物語が制作の背景にあり、人を殺める道具であるいっぽう、最先端の技術を凝縮した銃器の作品を介して、平家物語の世界観や現代にも通じる諸行無常の説いを表現することを試みている。これまで、「キリンアートアワード2001」準優秀賞、「第13回岡本太郎現代芸術賞」特別賞、「SOFA NY」最優秀賞(2012)を受賞。主な個展に、「M60」(TEZUKAYAMA GALLERY、大阪、2015)、「VOLTA 11」(MARKTHALLE、バーゼル、2015)などがある。