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ウィリアム・ケントリッジ

William Kentridge

 ウィリアム・ケントリッジは1955年南アフリカ・ヨハネスブルグ生まれ。アパルトヘイトの政策下で育つ。75年にジャンクション・アヴェニュー劇団に入り、演出家、俳優として活動(〜91)。その間、76年にヨハネスブルグのウィトワーテルスラント大学で政治学とアフリカ学で学位を取得し、ヨハネスブルク美術財団で美術を学ぶ。81〜82年までジャック・ルコック国際演劇学校に在籍。89年より作家活動を本格的に開始し、最初の作品《ヨハネスブルグ、パリの次に素晴らしい都市》を制作。木炭と青色のパステルで描いたドローイングに手を加えながら、その変化を一枚一枚撮影していくストップモーションの手法によるアニメーションで国際的に注目を集めるようになる。89〜2003年頃までの作品には、ソーホー・エクスタインとフェリックス・タイトルバームという架空の人物を登場させ、ふたりの姿を介して南アフリカの歴史や政治状況、アパルトヘイト時代の記憶、民主主義への移行で生じうるずれ、そこに暮らす人々の心情を表現している。

 近年は、舞台作品『魔笛』(2005)やオペラ『鼻』(2010)のためのアニメーション、舞台美術を制作。2010年に日本で初めての大規模個展「ウィリアム・ケントリッジ——歩きながら歴史を考える」(京都国立近代美術館ほか)が開催され、同年に京都賞(思想・芸術部門)を受賞する。PARASOPHIA:京都国際現代芸術祭2015に参加。18年に東京新国立劇場で上演されたオペラ『魔笛』の演出を担当。19年に第31回高松宮殿下記念世界文化賞(絵画部門)を受賞する。