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ヴィト・アコンチ

Vito Accinci

 ヴィト・アコンチは1940年アメリカ・ニューヨーク生まれ。アイオワ大学大学院で文学・詩学を専攻し、60年代初頭は詩人として活動。67〜69年にかけてはベルナデット・マイヤーとともに、多くの詩人や芸術家が寄稿したことで知られる雑誌『0 TO 9』を自費出版し、編集に携わる。60年代後半より創作をアート作品に発展させ、自らの身体を使って公私の境を曖昧にするパフォーマンスを中心に、映像や写真作品を発表。代表作のひとつ《シードベッド》(1972)では、展示物のないギャラリーの床下に身を潜ませ、頭上で歩く人々の気配を感じながら自慰を行い、いっぽう観客はその声をスピーカー越しに聞くという状況をつくり出すことで、見る側と見られる側が逆転しうることを示した。公共空間におけるプライベートとパブリックについての関心を掘り下げるべく、80年代からはインスタレーションを展開。88年のアコンチ・スタジオ設立以降は、建築やランドスケープを中心に手がける。日本では渋谷マークシティのエントランスデザインを担当。ファーレ立川や市原湖畔美術館に作品が常設展示されている。2017年没。