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NEWS / EXHIBITION - 2017.12.15

小沢剛が見せる「パラレルな日本美術史」とは何か?
「不完全」展が千葉市美術館で開催

ユーモアと鋭い批評性を備えた作品をつくりあげてきた小沢剛が、千葉市美術館で大規模個展「不完全ーパラレルな美術史」を開催する。会期は2018年1月6日〜2月25日。

小沢剛 不完全 2017(「東京藝術大学130周年記念 藝大茶会それゆえに」での展示風景)

 小沢剛は1965年東京都生まれ。東京藝術大学在学中に、自作の地蔵やそのイメージを世界各地の風景とともに写真におさめる「地蔵建立」シリーズを開始。93年からは牛乳箱を用いた世界最小の移動式ギャラリー《なすび画廊》や、参加者とのコミュニケーションによって作品や状況をつくる《相談芸術》、世界各地の地元料理の食材でつくられた武器を持つ女性たちの写真《ベジタブル・ウェポン》など、様々なシリーズを手がけてきた。また近年では、2013年のフェスティバル/トーキョーで『光のない。(プロローグ?)』(E・イェリネク作)の演出と美術を手がけたほか、「さいたまトリエンナーレ2016」や「ヨコハマトリエンナーレ2017」などの国際展にも参加している。

小沢剛 新なすび画廊−マルチェラ・トゥルジーロ「脱皮する女」 1997 作家蔵
小沢剛 新なすび画廊−マルチェラ・トゥルジーロ「脱皮する女」 1997 作家蔵

 本展では、小沢の初期の代表作《なすび画廊》から新作まで、日本美術史からテーマを得て制作した作品を展示。タイトルの「不完全」は、東京美術学校(現・東京藝術大学)初代校長・岡倉天心(覚三)の著書『茶の本』に頻出する言葉から取られたもので、「完全を目指す途上に立つ、限りなく豊かでやさしい意味」を持つという。

 ハイライトとなるのは、新作の大規模インスタレーション《不完全》だ。これは、明治初頭にヨーロッパから日本に移入されたのち、近代絵画の時代に独自の発展をとげた「石膏像 / 石膏デッサン」をテーマにしたもの。ヨーロッパでは廃れながら、日本では依然として美術教育の教材として存続しているこの教育手法を、現役の東京藝術大学教授でもある小沢が作品に仕立てる。

小沢剛 不完全 2017(「東京藝術大学130周年記念 藝大茶会それゆえに」での展示風景)

 この他、日本人に欠かせない調味料である醤油がかつて画材として使用されていたという架空の設定のもと、過去の著名な美術作品を醤油で再現した《醤油画資料館》(1999)や、「戦争画家」として時代の流れに翻弄された画家・藤田嗣治をモデルに史実とフィクションが入り交じった物語をつくり出した《帰って来たペインター F》(2015)なども展示。小沢が生み出してきた「パラレルな美術史」で美術館を埋め尽くす。

小沢剛 帰って来たペインターF 2015 森美術館蔵

information

小沢剛 不完全-パラレルな美術史

会期:2018年1月6日〜2月25日
会場:千葉市美術館
住所:千葉市中央区中央3-10-8
電話番号:043-221-2311
開館時間:10:00〜18:00 (金土〜20:00)  ※入場は閉館の30分前まで
休館日:2月5日
料金:一般 1200円 / 大学生 700円 / 高校生以下無料

event

シンポジウム「石膏像の歴史、その受容と展開」

日時:2月4日 14:00〜(13:30開場予定)
会場:千葉市美術館 11階講堂
登壇:小沢剛、金井直(近現代彫刻史研究・信州大学人文学部教授)、荒木慎也(美術史家・多摩美術大学非常勤講師ほか)
料金:無料 ※要観覧チケット
定員:先着150名(当日12:00より11階にて整理券配布)
 
アーティストトーク
日時:2月17日 15:00〜(14:30開場予定)
会場:千葉市美術館 11階講堂
登壇:小沢剛、会田誠(美術家)ほか
料金:無料 ※要観覧チケット
定員:先着150名(当日12:00より11階にて整理券配布)
 
市民美術講座「小沢剛と日本近代美術」
日時:2月10日 14:00〜(13:30開場予定)
会場:千葉市美術館 11階講堂
講師:水沼啓和(千葉市美術館学芸員)
料金:無料
定員:先着150名

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