2017.5.22

オリジナルと複数性の間。大西伸明が問いかける「存在感」の正体

樹脂による型取りや版画の技法を用いた立体作品を制作している大西伸明が、個展「あわいの部屋」を開催。本展では、複数人で大西の作品を鑑賞するワークショップ「型取る声」も開催される。

shohaburokku 撮影=宮脇慎太郎
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 大西伸明は1972年岡山県生まれ。98年に京都市立芸術大学大学院美術研究科版画修了。樹脂による型取りや版画の技法を用いた立体作品を制作し、国内外で多数の展覧会に参加している。

isu 撮影=豊浦英明

 樹脂に着色を施すことで、物体をリアルに再現・複製している大西の作品。その一方で、一部分を着色せずに残すことで作品が実物ではないことも示唆している。作品が実物と見紛う物質感を持っているということを鑑賞者に意識させた上で、実物ではないことを表明する大西の作品は、私たちが日々感じている物質の存在感に疑問を投げかけているようだ。

 本展では、京都造形芸術大学アートプロデュース学科の学生を中心に「Art communication project」というワークショップを開催。複数人で作品を鑑賞し、お互いに作品の印象について対話していくことで、ともに作品の解釈を深めていく。

 なお、個展最終日には作家本も参加するトークイベントおよびクロージングパーティが開催される。