2017.3.23

オトリス・グループが見つめる
フクシマの「目に見えない風景」

ロンドンを拠点に活動するオトリス・グループが、福島第一原発事故を題材とした映像作品「ラディアント」を上映中。広島・アートギャラリーミヤウチにて5月21日まで。

The Radiant 2012  Courtesy of The Otolith Group and LUX, London.

 オトリス・グループは、1968年生まれのアンジャリカ・サーガーと67年生まれのコドヴォ・エシュンにより2002年に設立された、ロンドンを拠点に活動するアーティスト・コレクティブ。展覧会キュレーション、レクチャー、映像作品またはその混合を通じて活動している。

 本展で上映される《The Radiant(ラディアント)》(放射されるもの)は、東日本大震災による福島第一原子力発電所事故に関する報道映像やインタビュー、チェルノブイリ原発事故の記録映像など、複数の映像から構成されたエッセイ・フィルム。

 放射線とその影響を、モンタージュ(映画などで視点の異なる複数のカットを組み合わせて用いる技法)により可聴かつ可視化しながら、カメラで捉えきれない実態を「目に見えない風景」として示唆する。

 大災害によって生まれた日本の歴史の裂け目を起点とし、原子力発電所が街の発展や科学的な革新を約束した過去、目に見えない放射線の脅威に衰弱した現在、そして未来の忌まわしさなど、時空間を行き来しながらフクシマ以後の世界を描きだしていく。