2017.3.13

「謎の天才美少年作家」
J.T.リロイの真実に迫るドキュメンタリーが公開

「謎の天才美少年」として文壇に登場、一躍時代の寵児となったものの、のちにひとりの女性がつくり上げた架空の人物であったことが暴露された、アメリカの作家「J.T.リロイ」。この事件の真相を追ったドキュメンタリー映画『作家、本当の J.T.リロイ』が4月8日より、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほかにて全国公開される。

『作家、本当の J.T.リロイ』メインビジュアル © 2016 A&E Television Networks and RatPac Documentary Films, LLC. All Rights Reserved.

 女装の男娼としてドラッグと売春の少年時代を過ごし、18歳でその半生を綴った「自伝」を発表した、「謎の天才美少年作家」J.T.リロイ。1996年に『サラ、神に背いた少年』が出版されるとショッキングな内容とその文章力が話題を呼び、続編『サラ、いつわりの祈り』は映画化。セレブとも交友するカリスマ的存在となった。

 しかし2006年、「ニューヨーク・タイムス」が、リロイは実は架空の人物で、小説を執筆していたのは当時40歳の主婦、ローラ・アルバートであったという、驚きの事実を報じた。アルバートは10年もの間、自らのパートナーの妹を男装させて「リロイ」とし、自身が創作した小説を自伝として発表していたのだ。

 本作は、リロイをとりまくセレブたちの証言と、ローラ自身の言葉によって、この事件の真実に迫るドキュメンタリー。コートニー・ラブ、ビリー・コーガンらとの通話音声や留守電メッセージの記録を参照して事の顛末を追いながら、誰もの心に潜む「もうひとりの自分」の存在を浮き彫りにする。監督は、ドキュメンタリーを数多く手がけるジェフ・フォイヤージーク。