2016.10.27

来たれ現代の絵師!
「第8回 アダチUKIYOE大賞」
募集中

伝統木版画の技術を保存し、技術者を育成することを目的に設立されたアダチ伝統木版画技術保存財団が主催する「第8回 アダチUKIYOE大賞」の募集が始まっている。募集対象となるのは「浮世絵」が意味している「現代風の絵」だ。

第7回大賞受賞者・島崎良平《女とタバコ その一》の木版画の制作風景
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 浮世絵を今に伝え、草間彌生や山口晃など、現代のアーティストとも積極的にコラボレーションするなど、浮世絵の世界を更新し続けるアダチ版画研究所は、1994年に「アダチ伝統木版画技術保存財団」を設立。同財団が2009年に立ち上げたのが「アダチUKIYOE大賞」だ。

 同賞では、若手の摺師・彫師の技術を活かす場として、「現代の絵師」を募集。応募者の絵が下絵となり、彫師と摺師の手によって木版画となり、現代の浮世絵として誕生する。これまでの大賞受賞者には吉田潤や、大坂秩加のほか、福田美蘭などが名を連ねており、木版に対する関心の高さがうかがえる。

 8回目の今年は、「街」をテーマに作品を募集中。街道が整備された江戸時代にも、日本各地の名所を題材に、数多くの作品が描かれてきた。人々が暮らし、今の時代を映す鏡でもある街」。大きなテーマではあるが、その分自らのイマジネーションを発揮しやすいのではないだろうか。浮世絵には版木と摺りを経ることで生まれる、独特な風合いが宿っている。もともと「現代風の絵」を意味していた「浮世絵」。新しい表現に貪欲な、今を生きる若手アーティストやイラストレーター、デザイナーに挑戦してもらいたい。