2018.5.2

ミュシャの作品を彩った
「運命の女たち」にフォーカス。
約250点が静岡市美術館に集結

静岡市美術館がミュシャ作品を美しく彩った女性たちに焦点を当てた「ミュシャ展〜運命の女たち〜」を開催。個人コレクションから約250点の作品が集結する。会期は2018年6月2日〜7月15日。

アルフォンス・ミュシャ ポスター《ジョブ》 1896年 チマルコレクション
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 19世紀末から20世紀初頭にヨーロッパで起こった芸術運動「アール・ヌーヴォー」の旗手として知られるアルフォンス・ミュシャ(1860〜1939)。今回、静岡市美術館は、ミュシャ作品を美しく彩った女性たちに焦点を当てた「ミュシャ展〜運命の女たち〜」を開催する。

 美しい女性像を描いて人気を得たミュシャは、幼少期からの女性との交流が制作に影響したと推測されている。とくに、早世した初恋のひと、ユリエ・フィアロヴァー(愛称ユリンカ)の面影は、長きにわたってミュシャの作品のなかへ投影されている。初期の素描や城館の装飾デザインなど、その当時に交流があった女性にまつわる作品を紹介していく。その他、初公開となる『少女と鳩』など、貴重な素描や挿絵原画が並ぶ。

 パリに移ったミュシャは、大女優サラ・ベルナールの劇場ポスターで作家として大きく邁進。数多くの女性を優美かつ繊細に描きだし、独創的な模様を組み合わせた「ミュシャ様式」と並行して写実表現も続けた。アール・ヌーヴォーで重要な位置を占めたパリ時代から、晩年の祖国色あふれる作品群を通観すれば、ミュシャの芸術家としての才能を存分に感じ取れるだろう。

アルフォンス・ミュシャ 油彩画《エリシュカ》 1932年 チマルコレクション

 本展では、ミュシャと同郷の個人コレクターが親子三代にわたって収集した秘蔵コレクションから約150点を厳選。さらに、静岡展特別出品として、静岡市在住のミュシャ作品の世界的収集家・尾形寿行のOGATAコレクションも約100点展示される。「運命の女たち」というタイトルが示すとおり、初恋に始まり、栄華を極めたパリ時代、そして祖国で過ごした晩年に至るまで、ミュシャ作品を彩った女性たちに焦点を当てた内容となる。

アルフォンス・ミュシャ 素描《少女と鳩》 1899年 チマルコレクション