2018.4.12

モノクローム銀塩写真の醍醐味を感じる。写真家・柴田敏雄が見せるオリジナルプリント

自然の中の人工物を大胆に切り取る手法で知られる東京出身の写真家・柴田敏雄の個展「before Millennium」が東京・南青山のギャラリー・アートアンリミテッドで開催される。会期は2018年4月13日~5月26日。

柴田敏雄 静岡県静岡市 1996 © Toshio SHIBATA
前へ
次へ

 自然の中のダムなどの構造物を大胆に切り取る手法で知られる写真家・柴田敏雄。東京藝術大学美術学部、ゲント市王立アカデミー写真学科を経て、1992年に写真展「日本典型」で第17回木村伊兵衛賞を受賞。その作品は、ニューヨーク近代美術館をはじめ、メトロポリタン美術館、ボストン美術館など、アメリカ、ヨーロッパの主要な美術館や日本の美術館に多く作品が収蔵されている。

 東京藝術大学時代初期に油彩や版画を制作していた柴田は、絵画的な視覚で構図を切り取ると同時に、白黒の諧調を繊細に表現する高質な大型プリントを自ら暗室でプリントする独自の作風を確立した。

 デジタルの急激な浸透で銀塩写真の環境が激変しているいま、銀塩写真プリントはより貴重なものとなりつつある。柴田自身は2000年代に入ってから、徐々にカラー写真に移行したが、それ以前はモノクロームの銀塩写真で制作。本展では、柴田自ら暗室でプリントした40×50インチのオリジナルプリント6点を含む9点のモノクロ作品を特集して展示する。

 独特で圧倒的な構図とともに、銀塩写真の繊細な階調とテクスチャーを味わいたい。

柴田敏雄 山梨県中巨摩郡芦安村 1999 © Toshio SHIBATA