2021.12.3

深堀隆介の「金魚」から片山真理の新作展まで。今週末に見たい展覧会ベスト3

今週開幕した、または12月5日までに閉幕する展覧会から、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。

「金魚鉢、地球鉢。」展の展示風景より、深堀隆介《僕の金魚園》(2021)
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深堀隆介の表現の全体像に迫る。「金魚鉢、地球鉢。」(上野の森美術館)

 透明樹脂を繰り返し流し込みながら、アクリル絵具で絵を重ねて立体的な金魚を描くという独自の技法を使った作品で知られる美術家・深堀隆介。その個展「金魚鉢、地球鉢。」が上野の森美術館で開幕した。

展示風景より、深堀隆介《方舟》(2009)

 本展は6章構成。深堀の作風を象徴する、樹脂を重ねて描く積層絵画から、大型の平面作品や様々な素材を支持体に展開される作品、新たな表現を模索した作品、具象と抽象のあいだでのさらなる展開まで、深堀の制作の全体像に迫る。

 また、展覧会の最後にはインスタレーション《僕の金魚園》(2021)が展示。本物そっくりの金魚の屋台であるこの作品のなかにはキャラクターのように平面化された金魚たちが泳いでおり、壁面には水中の光のようなライトが投影され、金魚の水槽を覗き込むとともに、まるで鑑賞者も水槽のなかにいるような演出がなされている。

会期:2021年12月2日~2022年1月31日
会場:上野の森美術館
住所:東京都台東区上野公園1-2
電話番号:03-3833-4191
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:12月31日、1月1日
料金:一般 1600円 / 高校・大学生 1300円 / 小中学生 800円

「身体」についての写真新作群。「leave-taking」(AKIO NAGASAWA GALLERY GINZA)

 ⾃らの⾝体を模した⼿縫いのオブジェ、ペインティング、コラージュや、それらの作品を⽤いて細部まで演出を施したセルフポートレイトなど、多彩な作品を制作しているアーティスト・片山真理。その新作個展「leave-taking」が東京・銀座のAKIO NAGASAWA GALLERY GINZAで開催される。

片山真理 leave-taking #010 © Mari Katayama, 2021 Courtesy of Akio Nagasawa Gallery

 近年、第58回ヴェネチア・ビエンナーレ(2019)や「Broken Heart」(White Rainbow、ロンドン、2019)などの国際展に出展し、第35回写真の町東川賞新⼈作家賞や第45回⽊村伊兵衛写真賞など数々の受賞歴ももつ⽚⼭。本展では、すべて新作となる「leave-taking」シリーズが展開。オブジェの過去作と向き合う機会が多くなったという⽚⼭が、「身体」について考えるなかで撮影した作品群となる。

 また本展開催にあわせて、作品集『Mother River Homing』もAkio Nagasawa Publishingより刊行される。

会期:2021年12月4日~2022年2月19日
会場:AKIO NAGASAWA GALLERY GINZA
住所:東京都中央区銀座4-9-5 銀昭ビル6F
電話番号:03-6264-3670
開館時間:11:00~19:00(土は13:00〜14:00休廊)
休館日:日、月、祝、冬期休廊(12月28日〜2022年1月8日)
料金:無料

ジャンルや時代を超えたスペシャリストとコレクションの共演。「コレクションとの対話:6つの部屋」(京都市京セラ美術館)

 京都市京セラ美術館開館1周年記念展の一環として、「コレクションとの対話:6つの部屋」展が12月5日まで開催されている。

Untitled(Display Case #66) 2021 © Gottingham Image courtesy of Out of Office and Studio Xxingham

 本展は、ジャンルや時代を超えたスペシャリストが異なるアプローチで同館のコレクションと「対話」し、作品にまつわる秘められた歴史や物語を引き出すもの。6つの部屋が設けられており、現代美術家や建築家、かつて同館に在籍し草創期・転換期を支えた学芸職員、また日本でのキュビスムの波及に影響を与えた画家といった面々がコレクションと共演し、実験的な試みが行われる。

 対話者は、竹内勝太郎(学芸職員・詩人、ことば×日本画)、加藤一雄(学芸職員・文筆家、ことば×日本画)、アンドレ・ロート(画家、西洋×日本の洋画)、宮永愛子(現代美術家、時間×工芸)、ひろいのぶこ(繊維造形作家、テキスタイル×染織)、髙橋耕平(現代美術家、映像×版画)のほか、館長の青木淳もそのひとりとして参加し、また本展の会場構成を手がけた。

会期:2021年10月9日~12月5日
会場:京都市京セラ美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
電話番号:075-771-4334
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
料金:一般 1000円 / 大学・高校生 500円 / 中学生以下無料