2019.2.17

1980年代〜90年代の日本美術を振り返る。「パレルゴン」展がロサンゼルスのBLUM & POEでスタート

今年開廊25年を迎えたロサンゼルスを代表するギャラリーBLUM & POEで、1980年代〜90年代の日本美術にフォーカスした展覧会「パレルゴン」が2月14日にスタートした。2期に分けて開催される本展には、中原浩大や宮島達男、柳幸典などの作家による作品が集結する。第1期は2月14日〜3月23日、第2期は4月6日〜5月19日。

展示風景より、椿昇《フレッシュ・ガソリン》(1989) © Noboru Tsubaki / Courtesy of Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo
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 1980年代〜90年代の日本美術にフォーカスした展覧会「パレルゴン」が、2月14日よりロサンゼルスのBLUM & POEでスタートした。キュレーションは、「© MURAKAMI」(2007〜09)など数々の展覧会を手がけてきた吉竹美香。

 「アブジェクト・ポリティクス」や「風刺」「シミュレーション」などのテーマに分かれた本展は、2会期にわたって開催される。第1期は2月14日〜3月23日、第2期は4月6日〜5月19日。両会期を通じて、中原浩大宮島達男中村一美小沢剛柳幸典など25名の日本人作家の作品が紹介される。

展示風景より、柳幸典《グラウンド・トランスポジション》(1987/2019) © Yukinori Yanagi / Courtesy of Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo

 本展のタイトル「パレルゴン」は、1981〜87年に東京に存在し、80年代のニュー・ウェーブの動向に結びついた多くの日本人作家を紹介してきたギャラリー・パレルゴンに由来する。今日の日本現代美術に対する理解を深めていくため、1980年代〜90年代に生み出されてきたユニークな作品が集結する本展では、インスタレーションやパフォーマンスなどを通じ、新しい批判的試みを行ってきた作家の多ジャンルでの実践を見ることができる。

 バブル経済の発展と崩壊や消費主義社会の出現といった背景下で、作家たちは既存の美術を乗り越えるような表現を探り始め、実験的な電子音楽やコンセプチュアルな写真作品など様々な表現や媒体を用いて、サブカルチャーの要素を自身の美術的実践と融合し、前衛やモダニズム的な美学の内在化を打ち出していくような試みを行ってきた。

展示風景より、宮島達男《時の海》(1988) © Tatsuo Miyajima, Courtesy of Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo

 BLUM & POEによると、本展は、「もの派」という芸術動向の台頭と、村上隆や奈良美智といった作家で知られる「ネオ・ポップ」と呼ばれた世代の間に横たわる日本美術における重要な数十年間について掘り下げていく試みだという。

 なお、同廊開廊25年の節目の年に開催される本展は、2月17日〜4月6日にロサンゼルスのノナカ・ヒル・ギャラリーとの共同開催となる。加えて、池田亮司、EYE、灰野敬二、大友良英、Saicobabによるパフォーマンスや、出展作家によるパネル・ディスカッションなどのパブリック・プログラムも行われる。