2018.8.31

画家・石川順惠の回顧展がBLUM & POEで開幕。素材感を強めた近作にみる、30年にわたる実践とは

画家・石川順惠の個展が、東京・原宿のBLUM & POEで開催される。本展は、石川が2014年から現在にわたって取り組んでいる「Impermanence」(=非永続性)シリーズを中心に構成されるもの。会期は9月1日〜10月20日。

石川順惠 Impermanence —苧環 2014 キャンバスにアクリル、砂 183×183cm © Yukie Ishikawa, Courtesy of the artist and Blum & Poe, Los Angeles / NewYork / Tokyo

 石川順惠は1961年東京生まれの画家。83年に武蔵野美術大学油絵学科を卒業し、その後の80年代末から本格的に活動をスタートさせた。これまで数多くの個展を開催してきたほか、「絵画の力 - 今日の絵画 近年の新収蔵作品を中心として」(いわき市立美術館、2005)、「プライマリー・フィールド 美術の現在 - 七つの<場>との対話」(神奈川県立近代美術館葉山館、2007)、「ミニマル/ポストミニマル 1970年代以降の絵画と彫刻」(宇都宮美術館、2013)といったグループ展にも参加。その作品は、広島市現代美術館、いわき市立美術館、神奈川県立近代美術館、国立国際美術館など、数々の美術館で所蔵されている。

 アメリカやヨーロッパ各地で新表現主義の動向が席巻した80年代後半、日本のニュー・ペインティングの台頭とともに活動をスタートさせた石川。日本においても、シミュラークルやアポロプリエーションといった新たな美術手法が模索された時代のなかで展開されてきた石川の実践には、近代絵画の歴史や、ミニマル・アートに見られる空間に対する意識的な応答がうかがえるだろう。

 そんな石川の個展が、東京・原宿のBLUM & POEで開催される。本展は、2012年から現在にわたって取り組んでいるシリーズ「Impermanence」(=非永続性)を中心に構成されるもの。そのなかには、砂を混ぜ込み質感を強めた絵具や点苔技法(=中国絵画の技法。岩石や枝幹などについた苔や小植物を示すために要所に打つ点)を複合的に扱った作品も含まれるという。

 同シリーズにおいて石川は、旧作に加筆することを通じて、絵画に新しい意味を付与することを試みている。カラフルなストライプが複層的に重ねられた画面から、新たな絵画構造を展望したい。