2016.4.14

上田麗奈と藤ちょこ先生のデジタルペイント講座④ 服装編

初心者にもやさしい直感的な操作が可能な多機能・低価格のペイントソフトとして、多くのクリエイターに支持を得ているペイントソフト「openCanvas」。その魅力を、同ソフトのメインアートワークを手がけた人気イラストレーター・藤ちょこさんが、声優の上田麗奈に教える連載です。デジタルイラストの制作はまったく初めてという上田も、回を重ねるごとに成長。自分らしい表現に磨きをかけています。前回(第3回)では、描いた線画の頭部を中心に色を塗り表情をつけました。今回は色を塗るだけでなく、色面の効果的な演出に挑戦します。

「openCanvas」でデジタルペイントに挑戦する上田麗奈
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キラキラした光の効果はレイヤーの「加算」モードで

当初の純朴な少女像から変容を遂げてきた、上田が描くキャラクターの「いもちゃん」。第3回では、紫の髪に猫のような黄色の瞳で、すっかり暗い過去を背負った「紫いもちゃん」に。さらに上田は、この紫いもちゃんに「宇宙」のようなイメージを加えたいようです。

藤ちょこ(以下、藤):前回の最後に、髪の毛の色を宇宙みたいにしたいと言っていましたが、どんなイメージなんでしょうか。

上田麗奈(以下、上田):彼女のまわりにシャボン玉が飛んでいるようなイメージで、髪の上に円をポンポンって。[鉛筆ツールのペン先を太くし、丸いスタンプを押すように、髪の上に薄い紫の円を描いていく]

藤:なるほど、デザイン画みたいな感じにしたいんですね。レイヤーの合成モードで「加算」という機能を使うと、いま描いている円がきらめいているような効果が出ますよ。

上田:[レイヤーの合成モードを「加算」に設定]うわぁ、すごい、キラキラ感が出てきた! なんか楽しくなってきました。[ポンポンと無心に円を描く]

レイヤーを「加算」モードに設定すると、描いた白色系の円にハレーションのような効果が出る

藤:円の色を変えながら描いていくと、よりキラキラした感じになると思います。例えば黄色はどうでしょうか。

上田:黄色? [藤ちょこ先生が指定した黄色で円を描く]あら、可愛い! 暗い過去を負っていた「紫いも」にも、なんだか希望の光が射しますね。

一同:(笑)

開発:絵を描くのって、技術というより、センスや想像力が大事ですよね。上田さんみたいに次々とイメージが湧き上がってくると、それを表現するために様々な機能を使うので、自然と覚えていける。もうすでに初心者の絵とは思えないじゃないですか。

藤:そうですね。私には、こういう色の塗り方は思いつかないですから。こうやって自分なりの表現のしかたを積み重ねていくと、作品のオリジナリティにつながっていくと思います。

画面にキラキラとした演出が入り、またしても「いもちゃん」の設定が変わりつつある。上田の自由自在な発想は、もはや予測不能に

ペンツールを効果に合わせて使い分ける

上田:藤ちょこ先生、制服にも宇宙感を出したいです。

藤:制服の部分は、いまのように鉛筆ツールで円を描いていくより、エアブラシツールで服全体に宇宙のイメージを描いて、そのあとにレイヤーの「乗算」モードで服のシワや影を入れていく方法がいいかと思います。

上田:はい、それでやってみたいです!

藤:まず、宇宙のイメージを描く新しいレイヤーは、先ほどのように「加算」モードで設定しましょう。塗り分けたレイヤーの上に、エアブラシで全体に色の流れをつくったら、ペン先を変えながらいくつかの色で星を描いていくと、宇宙っぽくなると思います。星も温度によって様々な光の色がありますから。

ペンツールの設定を使い分けると、こんなに幅広い表現が可能に。上田の「宇宙っぽい感じ」という要望から、ここまでナビゲーションしてしまう藤ちょこ先生にも脱帽だ

黙々と作業に取り組む上田。しばし室内には、上田の持つペンタブレットのこつこつという音だけが響きます。やがて沈黙を破った上田の第一声に、藤ちょこ先生とスタッフはまたしてもびっくり。

上田:いま、心臓をつくりたくて......。

藤:心臓を、つくる?

上田:ここに心臓があるよ、って左胸のところに赤で描きたいです。あ、ここの部分はエアブラシじゃなくて、ペンのほうがいいかな。

前回(第3回)では、地道な塗り分けの作業は苦手と言っていた上田だが、ライオンのたてがみ(第1回)や少女の頭髪(第2回)、宇宙の星(今回)など、細かいものをひたすら描き足していく作業は好きらしい
セーラー服の色塗りに「宇宙」を意識し、「心臓」や「血流」の要素を取り入れる上田。その着想とスケールがただ者ではない

開発:もう、「いもちゃん」じゃないですね。

上田:「コスモちゃん」誕生ー! ここから血が全身に巡っていく感じ......。[左胸の辺りに赤い円を散らしていく]

「乗算モード」で、下のレイヤーの色をつぶさずに自然な影をつける

上田:ふぅ、腱鞘炎になりそう。

藤:ずっと細かい作業を続けてますもんね。ここまで描けたら、新しいレイヤーを「乗算」モードにして制服の影を描いていきましょう。こうすると、いま描いた宇宙の部分を塗りつぶさずに影が描けます。ここでの作業は、前回に顔のまわりや髪に影を入れていったときと同じです。襟やスカーフの形、服と服の前後関係を考えて、影が落ちるところを塗っていきます。濃いなと感じたら、レイヤーの濃度調整してください。

イヤーを「乗算」モードに設定して、洋服のしわや影を描き込んでいくと、人体部分に立体感が

上田:[制服の部分に陰影を入れて]はい、終わり♪

藤:はい、ではここまでの作業を保存して、今日は終了ですね。次回はいよいよ背景です。

上田:よろしくお願いします!

(第5回に続く)

第4回の講座内容を上田麗奈が動画でおさらい!

第4回「色を塗ってみよう!<服装編>」のイベントファイルを早回しで再生しながら、上田麗奈と藤ちょこ先生が、おさらいします。

上田麗奈と藤ちょこ先生のデジタルペイント講座【第4回】色を塗ってみよう!<服装編> https://youtu.be/JuHZYEPJxhY
@fuzichocohttp://fuzichoco.com
ペイントソフト openCanvas パッケージ版